学術界から民間企業への転職

Indeed のデータサイエンティストの視点

自分の指導教官に研究から離れたいと伝えたときのことを、よく覚えています。ストレス。恐れ。口に出してはっきりと、「これが自分のやりたいことではないと思う」と伝えたこと。その後に感じた、安堵。

当時、私は論文の計画、複数の記事の発表、教職、そして研究助手を何とか掛け持ちしていました。その間、自分が望む暮らし方や働き方にもっと合っている環境で、自分が博士課程で学んだスキルを活かせるデータサイエンスについて、リサーチを始めていました。そんなわけで、私は学術界を離れてスキルの方向転換をし、民間企業でのデータサイエンスの仕事を探す決意をしました。

もちろん、私の体験は変わったものではなかったと思います。パーマネント職は、雇用保証としては最上級だと喧伝されがちです。けれど、博士号取得者の数が増えている一方で、募集中のパーマネント職の数は減ってきています。さらには、給与は上がっていません。私が話を聞いた、学術界を離れたデータサイエンティストの多くは、「教授への道のりは長く不確か」であり、しばし、「精神的ダメージを負う」くらいの不安に満ちていると言っていました。対照的に、民間企業が大量のデータの活用を望むようになり、Indeed に掲載されるデータサイエンティストの求人は、2013 年から爆発的に増加しています。

過去 4 年間で、Indeed.com に掲載されるデータサイエンティストの求人は 4 倍になった

注記: 上のグラフは、2014 年 1 月 1 日から 2017 年 11 月 1 日の間に、全世界で「データサイエンス」や「データサイエンティスト」というキーワードとともに Indeed に掲載された全求人の 7 日間の移動平均を、パーセンテージで表示しています。データは、Indeed のオープンソースデータサイエンスプラットフォーム Imhotep を使用して取り出されました。

世間から隔絶されている学術界の性質から、学術界を離れたい人々も、「本当の世界」がどんな感じなのかわからない、ということがよくあるのではないでしょうか。私が 2 年前に学術界を離れた際に、よく「どうして学術界から離れるの?」や「雇ってもらいやすくするには、どうしたらいい?」などの質問を、よく聞かれました。そして、そんな中でも最も実存的な質問だったものがこれです。

「学術界を離れても色々大丈夫?」

こうした質問に答えるために、学術界を離れ Indeed で働く 11 名のデータサイエンティストプロダクトサイエンティストの助けを借りました。簡潔に留めるため、この記事内では、彼らを「データサイエンティスト」などと呼んでいますす。

私が話を聞いたデータサイエンティスト達は、ある人はリベラルアーツ、ある人は STEM 教育、というように様々なバックグラウンドを持っていました。Indeed が学術界を離れてから最初の仕事、という人もいれば、 IT 業界に移って 10 年近く経つ人もいました。学術界を離れた時期もそれぞれで、「あとは博士論文だけ」という段階だった人もいれば、助教授を務めていた人もいました。まずは別の学術系の仕事を探した人、探しもしなかった人、探すつもりではなかった人もいました。結婚や子供を持つなどの大きなライフイベントが、学術界に留まることを考え直す強いきっかけになったと言うデータサイエンティストもいました。

この長い投稿が、民間企業へ思い切って転職することを考えている研究者たちにとって、少しでもアドバイスや励ましになることを願います。

産業界に移るメリット

単純に、産業界に移ることで、時間やエネルギー、そしてお金の使い方をもっと自由にできるようになります。どこに住めるか、そして、どんな統計方法を利用することができるか、と言ったこともそうです。

あっという間に、もっと自主的に住む場所や職場を選べるようになります。あるデータサイエンティストは、ポスドクのフェローシップをいくつか経験した後に民間に移ったことで、「色んな仕事の機会があり、もっと将来の見通しの立てやすいキャリアパス」を持つことができたと言います。

元研究者たちが産業界に移る際に一番変化があるのは、自分の時間がもっと増えて、気持ちにもずっと余裕が出る、と言う部分でしょう。データサイエンティスト達の中でも、「週末を取り戻した」ことや「家に 17 時に帰宅後に仕事をする必要がなくなった」ことが話に上がっていました。新しくできた時間とお金で、料理、サイクリング、写真、そしてスポーツ分析などの新しい趣味を見つけた人もいました。

民間企業で働くということは、別の形での保障が生まれます。つまり、より良い給与です。「給与が 2 倍になり、やらなければいけない仕事量が半分になった」と言う人もいれば、「経済的に苦労しなくて済むのは、本当に気分がいい!」と言う人もいました。Indeed のデータサイエンティストの平均給与米国の平均収入学術界のポスドク職や教授職の平均収入よりもずっと上です。私も、新しい仕事の初給与で新しい靴を買った時に、お金のやりくりを心配しなくて済むのだ、と気づいた時のことを、はっきりと覚えています。

こうした個人的な暮らしへのポジティブな影響以外にも、研究職を離れたデータサイエンティストたちは仕事においてのメリットも話してくれました。すぐに利用できるデータの量や、研究内容が論文として発表可能か、と言うような心配が減るおかげで、「学術を離れて方法論の自由を享受している」と言う人もいました。話を聞いたほとんど全員が「自分が影響を及ぼす規模、そしてそのスピード感」を楽しんでいるということを述べていました。

民間企業のスピードと協力体制

研究職ではない仕事は、特にスピードと協力体制などの面で、新参者にとっては驚くような重要な違いがあります。

私が話を聞いたほとんど全員が、民間企業では「素早く動き開発を続けることに常に集中して」おり、プロジェクトのサイクルがより短く早いと言う話をしていました。「全てが正確になるまでプロジェクトに時間を費やす」と言うような研究者の傾向は「産業界に移ると邪魔になる癖」になります。ある人はこう言っていました。「学術界では、あるトピックや研究の分野に何年も留まると思いますが、企業では四半期ごとに新しい事に取り組むことを気持ちの面で受けいれる必要があります。」

一番大きな違いは、おそらく孤独に働くことがなくなることでしょう。「学術界は、孤立していて、自分だけのものと主張できる個人の功績を重んじます。」と、あるデータサイエンティストは言います。「けれど、企業で一番結果を出すのは、人と上手に協力しあえる人でしょう。」

協力し合う機会は、民間へ転向する研究者にとっても特に有意義なものかもしれません。「何かに困っていても、一人でやる必要はないのです。」と、ある人は言います。定期的にチームに進捗共有をすることや、プロジェクトに取り組むために何週間も何ヶ月もまとまった期間消えてしまわないことが、チームでは望ましいとされます。また、話を聞いたデータサイエンティスト全員が、研究のためにコードを書いた経験がありましたが、通常は「自分にしか影響しない環境だった。コードベースを他の5名と共有し、失敗してお互いに迷惑をかけないようにすることを、すぐに学ばなければならなかった」そうです。

研究から民間企業に持って行けるスキルとは

研究を必死に行なっていると忘れがちですが、研究者は自分の専門分野以外にも、民間企業で役立つスキルをいくつも持っています。ある意味では、「研究者は、従業員が一人しかいないスタートアップになるように鍛えられているとも言えます。情報を集め、資金と支援を見つけ、希少なリソースをやりくりし、研究を進めるために、技術的なスキルと技術に関係ないスキルを身につける必要があります。」と、あるデータサイエンティストは言っていました。

人によっては、こうした持ち越し可能なスキルは、コードを書けることや、統計、モデルの構築だったりするかもしれません。別の人にとっては、研究者にとって当たり前で自分では見過ごしている、技術とは関係ない様々なスキルが、民間企業にとって価値あるものかもしれません。例をあげると、研究が個々で独立した仕事であるため、研究者は貴重な時間やプロジェクトのマネジメントスキルを身につけています。また、独自にリサーチする能力や独学する能力も、誇張しきれないほど重要です。「多くのデータサイエンスの問いは複雑で、必要なスキルを全て備えている人なんていません」とある人は言います。「だからこそ、独学は超重要です。」

また、研究者は有用なコミュニケーションスキルを身につけています。あるデータサイエンティストは「自分の議論のあら捜しをしようとする専門家の前で話す練習をたくさんしてきたので、クライアントに結果を提示することは楽なものでした。」言いました。初級の授業を教える環境から、同僚である専門家にプレゼンを行う環境に移ったことで、「適切なオーディエンスに対してプレゼンの提案をするいい練習」になった、という人もいました。いくつもの論文や、本、記事を執筆してきているので、ドキュメンテーションや、プロジェクトのアップデート、そしてブログ記事などを書くのは、そんなに難しいことでもありません。

最後に、クリティカルシンキングの価値は計り知れません。研究者は、懐疑的で「大きく、複雑で、ぐちゃぐちゃな問題」に取り組むように鍛えられています。「強固な方法でプロジェクトを作り上げ、自分の仕事の注意すべき点を全て理解できる」だけの知識を身につけているのです。

民間企業で採用されるには

私が話を聞いたデータサイエンティスト達は、自分や自分のスキルを見直すために、色んなアプローチをしていました。読書、学校やオンラインで授業を受講、夏の間にインターンシップとして働く、学内の進路カウンセラーと相談、などがありました。多くの大学では、これらの情報を少額または無料で提供しています。

また、データサイエンスのスキルを習得しながら、サイドプロジェクトのことを個人ブログで書くことを勧めていた人も何名もいました。DataKindData for Democracy などの団体は、データサイエンスのスキルを磨きたい新人のデータサイエンティスト向けのボランティアプログラムを提供しています。また、「自分のウェブサイトに実績として掲載できるような、プロボノで行えるデータ関連のプロジェクトがないか周りの人に聞いた」と言う人も数名いました。少なくとも 11 名のデータサイエンティストのうち 2 名は、こうしたブログが、最初の民間企業での就職に役立ったと言っていました。

民間に転向したデータサイエンティストの中には、学術界にいる当時から、研究プロジェクトでの使う言語を Matlab や Stata から Python や R などに「意識的に切り替えた」そうです。「学業を、よりわずかに実用的で技術的な方向に進める」ことを試みた人もいました。学術の分野で通常学ぶことがないスキルの中で最も一般的なものの一つは、SQL です。幸い、豊富な出版物やオンラインの資料があるので、SQL は比較的簡単に学ぶことができます。私たちのおすすめは SQL in 10 Minutes by Ben Forta と Learning SQL by Alan Beaulieu です。

学術界を離れることを検討している他の研究者と出会うのも、役に立つでしょう。勉強会のグループを作って、ホワイトボードでのコーディングの模擬面接の練習まで一緒にしていたという人もいました。地元のミートアップに参加したり、データサイエンスの分野をさらに知るための面談を受けた人もいました。

Indeed はデータサイエンティストを採用中です!

Indeed のデータサイエンス、プロダクトサイエンスのチームは、統計とプログラミングができる人を探しています。データサイエンスチームは機械学習の十分な知識を持つフルスタックエンジニアを探しています。プロダクトサイエンスチームは、運営の問題の優先順位をつけ、問題解決することにフォーカスしています。どちらのチームでも同じように大切なのは、ソフトスキルです。好奇心、向上心、そして自分の限界に対して謙虚であり、きちんとそれを見つめられること、そして、人々の仕事探しに役立つことに、本物の情熱を持っていることです。

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方法論

これは、明らかに小さなサンプル数からなる、定性の自己報告による研究です。もし、この記事があなたの経験を代弁していたら(していない場合も)、ご意見を聞かせてください。あなたは、データサイエンスの職に就くために学術界を離れましたか?どんな部分が似ていて、違っていましたか?コメントお待ちしています!


学術界から業界に転向した話を、時間を割いて聞かせてくれた Christo du Plessis、John Jardel、 Evan Koh、 Eric Lawrence、Chris Lindner、 Donal McMahon、Elias Ponvert、Ke Sang、Annette Taberner-Miller、そしてWenzhao Xuに心から感謝します。Trey Causeyは記事のドラフトに素晴らしいフィードバックをくれ、James Beach と Leah Pasch は最終稿の編集に力を貸してくれました。そして、学生が学術界を離れて行くときに、理解を示し協力してくれる全ての指導教官に感謝します(Pamありがとう!)。