FOSS Contributor Fund 始動から6か月

Indeed では、Indeed らしいやり方でオープンソースコミュニティをサポートしたいという思いから、2019年の初めに、Indeed 従業員なら誰でも参加できる FOSS Contributor Fund を設立しました。資金提供先の決定プロセスに従業員も参加できるようにし、オープンソースへの貢献を奨励しています。

foss contributor fund logo

FOSS: Free or Open Source Software

私たちのユニークなアプローチは、オープンソースコミュニティを支えてきた理念と一致し、また、Indeed の企業文化の根幹とも言えます。FOSS Contributor Fund は設立から6か月を迎えました。今回は、この基金の仕組みと、私たちの学びがどのように反映されているかについてお話ししたいと思います。

FOSS Contributor Fund の仕組み

毎月、1件のオープンソースプロジェクトを選出し、$10,000米ドルの資金を提供します。Indeed の従業員であれば誰でもプロジェクトを推薦することができますが、プロジェクトは次の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

  • Indeed またはその子会社で活用されること
  • OSI 承認ライセンスを使用すること
  • 資金を受け取るための仕組みがあること
  • 従業員がオーナーになっていないこと

決められた期間内にオープンソースに貢献した従業員は、推薦されたプロジェクトの投票に参加できます。オープンソースのプロジェクトに参加している従業員が、資金提供先の決定にも参加できるのです。

投票期間が終了すると、投票結果を集計し、勝者を発表します。その後、選出されたプロジェクトの担当者に連絡し、資金を受け取る準備が整っていることを確認します。資金の使用方法は、資金を受け取ったプロジェクト側が決定します。

これまでの成果

基金の設立以来、Engineering、QA、Site Reliability Engineering、Technical Content Management からの参加がありました。従業員のオープンソースへの貢献がより積極的になり、この6ヶ月間で3,000件以上のコントリビューションが確認できました。これまでに、Django、Git、Homebrew、pandas、pytest の5つのオープンソースプロジェクトに資金を提供しました。また、今後の資金提供先として ESLint が選出されています。

 

git logoGit プロジェクトは、寄付金のみで運営されています。主要コントリビューターは数名ですが、プロジェクトベースで多数の開発者が貢献してくれています。いただいた資金で、年に1回開催しているコントリビューターサミットなどのカンファレンスに参加するための旅費も賄えるので、開発者たちは活動を続けることができています。また、Outreachy プログラムにも資金を活用しており、コントリビューターの多様性が広がっています。
— ジェフ・キング (Git)


homebrew logo資金は主に、Homebrew のメンテナーの会合に使用する予定です 。 また、何度も延期してきた CI のセットアップの費用に使用させていただくことも考えています。
— マイク・マクエイド (Homebrew)

 

重要なポイント

基金設立以降、Indeed の全従業員が FOSS 基金への参加を希望していることがわかりました。幅広く参加を促すための重要なポイントをいくつかご紹介しましょう。

すべての従業員に資金提供先の選出プロセスを開放する。Git Hub の ID を持っている従業員やオープンソースの業務に携わっている従業員だけでなく、すべての従業員に参加を促します。従業員は、Indeed が支援するのに値する、会社にとって重要なプロジェクトだと確信すれば、プロジェクトを推薦してくれます。

プロジェクトの推薦条件を意識する。寄付をスムーズに行えるように準備を整えておきます。問題が発生して、参加の意欲が低下してしまうようなことは防がなくてはなりません。また、推薦されたプロジェクトには、資金を受け取るための仕組みが必要です。推薦されたプロジェクトの中には、少数ですがサポート契約やサブスクリプションが必要なプロジェクトがありました。基金は決められた予算で運営しなければならないため、繰り返し発生するような支払いには資金を提供できません。一方、推薦されたことで認識されたプロジェクトもありました。

一回の資金提供で最大の恩恵を享受できるプロジェクトはどれか。FOSS 基金では、従業員がどのプロジェクトに思い入れがあるかはわかりますが、経済的な支援を最も必要としているプロジェクトを見つけ出すことはできません。これまでに私たちが支援したプロジェクトは、ある程度の知名度があるもので、すでにコントリビューターと支援者のコミュニティが出来上がっているものが大半でした。これらのプロジェクトも支援を必要としていますが、知名度が低いプロジェクトにも支援が必要でしょう。これからも、FOSS 基金からの寄付を最大限に活用してくれるであろうプロジェクトの発掘に尽力していきます。

推薦されたプロジェクトを、オープンソースにより深く関わるための出発点とする。オープンソースに初めて貢献しようとしたとき、どこから着手したらいいのかわからない、というのが最大の障壁となることが多いでしょう。期間中に推薦されたプロジェクトに絞り込むことで、依存関係がわかるプロジェクトを選ぶことできるので、支援すべきプロジェクトに新たなコントリビューターを送り込むことができます。

 

pandas logoFOSS Contributor Fund からの寄付に深く感謝しています。この資金は有効活用させていただきます。ドキュメントを更新し、パフォーマンスの指標やベンチマークツールを改善し、年間を通して主要な開発者に資金を提供していきます。より本格的に pandas に取り組むことができます。この寄付のおかげで、pandas の改善を続けるために多くのリソースを使えるようになります。どの言語においても pandas は最高のデータサイエンスライブラリツールキットになるでしょう。
— ジェフ・リバック (pandas)


pytest logopytest はこの寄付を、メンテナンスや開発者の会合のための費用に使用させていただきます。また、来年度予定しているディベロップメントスプリントにも使用させていただくかもしれません。
— ブルーノ・オリベイラ


ESLint logoESLint はボランティアで運営されているプロジェクトですが、Indeed からの寄付がなければ、改善を進めることはできなかったでしょう。いただいた資金は、短期的にはドキュメントを様々な言語に翻訳する費用に充てる予定です。長期的には、開発とメンテナンスを続けられるよう、ESLint に定期的に貢献してくれている開発者の支援に活用する予定です。
— ニコラス・C. ザカス (ESLint TSC メンバー)

 

私たちの取り組み

Indeed の Open Source Program Office (オープンソースプログラムオフィス) では、必要なプロジェクトが今後も継続されるよう取り組んでいます。経済的支援を行うとともに、社内コミュニティにも、プロジェクトへの寄付を推奨しています。FOSS Contributor Fund は、この2つを結びつけるのに最適な方法です。社内 のオープンソースへのコントリビューターがプロジェクトの推薦、選出プロセスに参加できるようにしたことで、コントリビューションの幅が広がり、様々なプロジェクトが認知されるようになり、新たにコントリビューターを送り込むプロジェクトを把握できるようになりました。

Indeed のオープンソースプログラムについて詳しくはこちらをご覧ください。.  

Original English quotes are available here.