Indeed のエンジニアリング文化:謙虚な野心家

Indeed のエンジニアリング文化について書いたこれまでの投稿では、チームを独立させること、 失敗から学ぶこと、 統合負債を管理すること自主性と自発的な取り組みを尊重すること、そして 個々をスタック・ランキング制度で評価しないことの大切さについてお伝えしました。今回の投稿は、Indeed で私たちがどんな風に働いているのかという私の考えを締めくくりとしてお伝えしたいと思います。

Indeed の特性として、私が最も印象的だと感じたのは、この会社をゼロから築き上げてきたトップのエンジニアやマネージャーまでもが謙虚である、ということです。自慢や自賛は、Indeedでは見かけない光景です。同僚達のことを知っていく中で、正しいとか間違っているというのは過大評価されていると思うようになりました。それより、正しいことをする、ということに私たちは注力しています。ベテラン社員が時間をかけ、忍耐強く対応してくれることに私は驚きました。まだ何も実績をあげていない私の意見に耳を傾けようとしてくれたので、最初は、何故ここまで良くしてくれるんだろうと思ったものでした。

こうしたことを私が理解するまでに、少し時間がかかりました。そして、データを重視し自発性を求めることで、実践的かつ迅速に重要な議論を収めることができる、ということに気がついたのです。例えば、機能 X が事業に必要であると確信しているのであれば、マネージャーやディレクター陣を説得する必要ありません。説得できなかったり、最初から説得する気がなかったとしても、それに対して不満を募らせることはありません。あなたの経歴は ( ほとんど ) 関係ありません。あなたが唯一しなければいけないことは、自分の定理を実証または反証できるテストを設計をして、送り出すことなのです。もし、あなたがそれをやっていないならば、どうして発言できるのでしょう?


( 編集者より:  Indeedのエンジニアリング文化の最も大切な視点のいくつかにスポットライトを当てた 5 周年記念のシリーズは、この投稿で最終回となります。自身の視点をシェアし、私たちが毎日仕事に来るのが大好きな理由を思い出させてくれた James Dingle に感謝します。Indeed に興味を持たれた方は、是非採用案内をご覧ください。https://www.indeed.jobs/ )

Indeed のエンジニアリング文化: スタック・ランキング制度で評価しない

この投稿では、スタック・ランキング制度への反対意見について書いていきたいと思います。社員同士を比較するのではなく、社員の業務状況や成果を評価する。これって本当に物議を醸すようなことでしょうか ?

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もし、チームや部署に、決まった額のボーナス、昇進、株式の予算を割り当てている場合、あなたは事実上のゼロサムゲームを産み出しています。勝者を生むために、敗者が必要になるのです。この観点からすると、チームワークの大切さについてあなたが延々と話している時に、それを聞いて静かに頷く人がいたとしても、その会議が終わった途端に互いに競い始める、という状況が起こってしまうのです。

「でも、競争って良いものですよね ?」

行動に起こすか起こすまいかに関わらず、あるいは意図的であれ無意識であれ、お互いの仕事を妨害し合うようになったら、競争は良い物でなくなります。チームというのは、お互いに協力し合うことで、より多くのことを達成するものです。同僚が互いに助け合うことに関心を持たず、相手の失敗を見て楽しんでいるようであれば、チームでの達成はありえません。

「会社では全てのものに予算が割り当てられているのだから、報酬も予算付けすればいいのでは ?」

報酬も含め、全ての予算項目には不明な部分があります。小さな企業では、絶対数というのは全然問題になりません。企業が大きくなるにつれ、統計データが利用できるようになるので、個々の社員を比較せずとも、給与を充分予想できるようになります。

「固定予算がなければ、上司の気前が良くなりすぎるのでは」

「どうせ自分のお金じゃないし、あげてしまえば良いのに。」 でも、そんな考えは、生産性とやる気をすぐに下げてしまうことでしょう。

Indeed では、スタック・ランキング制度も使いませんし、あらかじめ決められたターゲット分布もありません。チーム間とオフィス間で業務評価を調整するプロセスがあるため、会社全体で評価の定義を統一することが可能になっています。マネージャーが単独で個人の評価をすることはなく、チーム間での競争もありません。この評価プロセスは、私がこれまで見てきた中で、おそらく最も公平なものと言えるでしょう。

次は ?

次回の投稿では、Indeed で働く人々によく見られる傾向についての私の考えをまとめながら、Indeed の文化に関するこのシリーズを締めくくりたいと思います。

Indeedのエンジニアリング文化: 自主性を尊重し、効果を測定する

前回の投稿では、イノベーションと統合について、そしてこの二点のバランスを取る重要性についてお伝えしました。今回の投稿では、Indeedがどのように自主性を通して、自発的な取り組みを促しているかについて書いていきたいと思います。

一般的な給与体系は、業績に基づいている

エンジニアが、自身の業績に応じてボーナスを支払われているとしたらどうでしょう?公平ですよね? 実際のところ、エンジニアはセールスの人間ではないので、これは公平とは言えないやり方です。そもそも、一つの会社で、二人のエンジニアが同じ業務をしている、なんてことは多分ないでしょう。(あるとするならば、ライブラリか何かを書いている場合でしょうか…)

成果報酬は本当に公平なのか ?

成果報酬は、各社員が割り当てられた業務についているのならば、公平なシステムにはなりえません。成果報酬を取り入れている会社は、真面目に仕事に取り組む社員が、成果に結びつくことを願いながら業務に取り組む一方で、そうでない社員が、相手を陥れるスキルを磨きながら、大きな成果につながるプロジェクトを横取りする、という社内文化を作り上げてしまっていることでしょう。なぜなら彼らはそれが、会社が定める昇進へのプロセスだと解っているからです。数年後に、どんな人がトップに立ち、それが自社の企業文化にどんな影響を及ぼしているか想像してみてください。

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このようなシステムとは別に、Indeed では社員一人一人に自分の業務を選択してもらう、という方法を採用しています。自分がどんな仕事をしたいのか、自分で選ぶのですから、携わるプロジェクトやプロダクト、そして上司に関する文句は言えません。読者の皆さんの中には、こんなことをする意味が全然わからないと思う方もいるでしょう。会社というのは民主主義でも遊園地でもないのです。社員が個々に自分の取り組みたい仕事を決めたとしたら、重要な事柄や緊急性の高い仕事ではなく、簡単で無難な仕事が選ばれてしまうことでしょう。さら大変なことに、 組織自体にまとまりがなくなり、プロダクトも意味をなさなくなってしまうかもしれません。

企業の従業員というのは、結局は、常識を持った人々です。彼らは、会社にとって影響の大きい仕事をしなければいけない時期もあれば、単純作業をしなければいけない時期もあるというのを解っています。複雑な仕事や難しくやりがいのある仕事も必要ですが、時にはそうした業務から離れ、比較的簡単ながらも生産的な仕事をすることも必要なのです。これまで見てきて分かったことは、自主性を高めても、最終的に達成できる仕事の結果が変わるわけではありませんが、その仕事に注ぐエネルギーや情熱に良い影響を大きくもたらすということでした。

Indeedでは、四半期ごとの業務評価プロセスの重要な要素として、事業への影響度合いを分析しながら、自主的な取り組みについてを評価しています。こうすることで、 「We help people get jobs」 という Indeed のミッション達成の向けた最善の方法で、エンジニアの意欲をかき立てながら、自分の業務のバランスを取れるようにしているのです。

次は ?

本シリーズの次回の投稿では、スタック・ランキング制度が何故よくないのかについて、書きたいと思います。